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あなたたちはあちら、わたしはこちら
大野左紀子
2015年12月7日発売

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映画に登場する、人生も半ばを過ぎた女たち。その誰もが私たちと同様に喪失や孤独、捨て去れない愛憎にとらわれている――。

私はシネフィルでも映画評論家でもありません。そこで、物語に没入した一観客の立場で、映画の中の女性たち一人一人ととことんつきあいながら書いていこうと思いました。音と映像の総合芸術である映画というジャンルを扱っているにしては、その一要素でしかない(と言っても非常に重要な要素ですが)物語に重点を置く書き方になっているのは、そのためです。注意したのは、自分の言いたいことのために作品を利用しないということ。結果、私にとってはからずも、「見えるものの意味作用を解き明かしていく作業」と、「“女”という厄介なものについて言語化する作業」の同時進行となりました。(本文より)

取り上げる映画作品の魅力と共に、現代の女性たちへ贈るエールの数々――。


Contents

埋葬する女 /『ルイーサ』
普遍的な顔、普遍的なファッション レオノール・マンソ

レオノール・マンソ/『ルイーサ』

裸になる女 /『カレンダー・ガールズ』
ターコイズ・ブルーの主張 ヘレン・ミレン

ヘレン・ミレン/『カレンダー・ガールズ』

踏み台にされる女 /『イヴの総て』
眼差しと機関銃 ベティ・ディヴィス

ベティ・ディヴィス/『イヴの総て』

「異物」と向き合う女 /『少年は残酷な弓を射る』
遠い星から来た女 ティルダ・スウィントン

ティルダ・スウィントン/『少年は残酷な弓を射る』

恋する女 /『旅情』
骨の魅力 キャサリン・ヘプバーン

キャサリン・ヘプバーン/『旅情』

優しい女 /『長屋紳士録』
筒袖の愛嬌 飯田蝶子

飯田蝶子/『長屋紳士録』

闘う女 /『女はみんな生きている』
ペコちゃん顔の誠実さ カトリーヌ・フロ

カトリーヌ・フロ/『女はみんな生きている』

寡黙な女 /『浮き雲』
不調和から始まる美 カティ・オウティネン

カティ・オウティネン/『浮き雲』

「承認」を捨てる女 /『めぐりあう時間たち』
子どもたちは見ている ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ

ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ/『めぐりあう時間たち』

正しい女 /『疑惑』
ピュアホワイトの殺気 岩下志麻

岩下志麻/『疑惑』

病む女 /『ピアニスト』
「逸脱者」の横顔 イザベル・ユペール

イザベル・ユペール/『ピアニスト』

わがままな女 /『クロワッサンで朝食を』
パリを着てきた女優 ジャンヌ・モロー

ジャンヌ・モロー/『クロワッサンで朝食を』


Book

あなたたちはあちら、わたしはこちら

タイトル:あなたたちはあちら、わたしはこちら
著者:大野左紀子
出版社:大洋図書
発売日:2015年12月7日
ISBN:978-4813022633
判型/頁:B6判/188頁
価格:1,600円+税

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あなたたちはあちら、わたしはこちら

Author

大野左紀子
大野左紀子
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文筆家。1959年、名古屋市生まれ。1982年、東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。83年から2002年まで発表活動を行う。2003年美術家を廃業し文筆活動へ。著書は『モテと純愛は両立するか?』(夏目書房、2006)、『アーティスト症候群 -アートと職人、クリエイターと芸能人』(明治書院、2008)、『「女」が邪魔をする』(光文社、2009)、『アート・ヒステリー -なんでもかんでもアートな国・ニッポン』(河出書房新社、2012)。共著は『ラッセンとは何だったのか? -消費とアートを越えた「先」』(編著:原田裕規、フィルムアート社、2013)など。現在、名古屋芸術大学、京都造形芸術大学非常勤講師。

著書一覧

モテと純愛は両立するか?

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アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人

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「女」が邪魔をする

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アート・ヒステリー ---なんでもかんでもアートな国・ニッポン

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